【保存版】チケット販売時に寄付を集める方法を解説
「芸術家への支援(パトロン)」の歴史は古く、中世(1,000年以上前)からアーティストへの支援があったと言われています。
芸術家と支援者は切っても切れない関係ということです。
今の時代で音楽家が支援を得ながら活動をしていくのであれば、現代にあった方法をのがベストです。
この記事では、その一つの方法として、私が実際にコンサートで支援をいただいている「チケット販売と同時に寄付を募る」という方法を以下の4つのポイントに分けて紹介します。
ポイント
✓「販売+寄付」の流れ
✓ どのくらい寄付が集まるのか
✓ どういう企画に向いているのか
✓ 導入する方法
― この記事を書いた人
河野 泰佑 Taisuke Kono
24歳の時に金融業界を離れて音大に入り、声楽の勉強をはじめました。
クラシック音楽業界でプロを目指す中で「音楽で食えるようになるには時間がかかるぞ」と気づきました。
複業を考えた時に、どうせ仕事をするなら「経験を生かして同じ境遇にある音楽家の力になれる仕事をしよう」ということで、自身の音楽活動と音楽家サポートという両輪で活動しています。
私自身がコンサートで活用していたチケット販売の仕組みを、誰でも使えるようにプラットフォーム化して、enLight checkoutとして提供しています。
慶應義塾大学法学部卒業後、証券会社に2年間勤務。
東京藝術大学声楽科を経て東京藝術大学大学院修士課程オペラ専攻を修了。
目次
どんな方法?METも採用する「販売+寄付」の流れ
文字通り非常にシンプルです。チケットを購入していただく際、お支払いの前に寄付を呼びかけることで、チケット代と一緒に寄付金をいただくということです。
世界寄付指数(WGI)でも常に上位のアメリカは、寄付文化が盛んな国として有名ですが、米・ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)でも「チケット販売+寄付」の手法が採用されています。
METでは、実際に以下のようなステップで販売と寄付の呼びかけをしています。
このようにチケットを買うタイミング、つまり「お財布を開くタイミング」に寄付を呼びかけることで寄付の心理的ハードルが下がるという仕組みです。
このような寄付が成り立つのは「METのオペラを応援したい!」という観客の気持ちの現れです。
ということは、皆さんが出演するコンサートに来場するお客様の中にも「あなたを応援したい!」という方がいるのではないでしょうか?
寄付を呼びかけたところで実際どれくらいの寄付が得られるのかを次で説明します。
実績:購入者の半数以上が平均2,800円を寄付
メトロポリタン歌劇場の事例でも、私の経験でも、チケットを購入する人の半数以上が寄付に応じるというデータがあります。
その平均の寄付金額はなんと2,800円。
2,000円や3,000円のチケットを買った人の半数以上がチケット代とは別に2,800円を寄付するということです。
実際の寄付金額
Q.「実際にどのくらい寄付が集まるの?」
A.「実際の販売データから、10件チケット販売したときの寄付金額をシミュレーターで試算できます。」
実際に支援を寄せてもらえる可能性があるなら、試してみる価値があると思いませんか?
この方法が向いているのはどんな企画なのか、次で解説していきます。
「販売+寄付」が向いている企画の条件とは?
条件は重要な順に下記のとおりです。
✓出演者が何かに挑戦していること
✓お客様と出演者が知り合いであること
✓チケット価格が高くないこと
寄付は応援の気持ちです。
つまり応援したい理由がなければ寄付にはつながらないということです。
私が実際に寄付を募ったコンサートは、
・新しい歌曲集に挑戦する
・知り合いがお客様
・チケット価格2,000円
というコンサートでした。
こうしたコンサートは決して特別なものではないと思います。
同じような企画をやっている方は、「販売+寄付」を導入してみることを強くおすすめします。
「販売+寄付」を導入する2つの方法
自身や知人の開催するコンサートの500枚以上のチケット販売を通じて、寄付が送られる条件はおおまかに「5つ」あることがわかりました。
①チケット代と寄付金を合算する
②事前精算する
③寄付の選択肢を用意する
④第三者の立場から支援を呼びかける
⑤文章で支援を呼びかける
条件を満たす販売の方法は、以下のとおりです。
- ネットショップを開設する
- 専用のサービスを使う
下記の表を参考に自分に合った方法を選びましょう。
要するに...
✓ ネットショップ:自分で作るかわりに手数料が最も安い
✓ 専用のサービス:寄付されやすい設計ですぐに販売開始できる
「販売+寄付」対応の2つの方法をそれぞれ見ていきましょう。
【Square】ネットショップを開設する
自分で設定をしてネットショップを開設するため、やや手間がかかるかわりに、最も安い手数料で寄付を募れます。
また、任意で好きなデザインにカスタマイズできることもポイントです。
自分専用の販売ページを作ってみたい方におすすめです。
現状最も使いやすいのはSquareです。
お金がかかるのは販売した時だけなので、無料で登録、無料でページ作成までとりあえずやってみて使うかどうか決めることもできます。
販売を始めるだけならそんなに難しくないので、自信のない方も、最もリーズナブルな選択肢として一度試してみることをおすすめします。
>>Square公式サイト
Squareについて、以下の記事でも詳しく説明しているので興味のある方はご覧ください。
【enLight checkout】専用のサービスを使う
enLight checkoutは、若手音楽家の小規模公演のために私自身が開発・提供しているチケット販売システムです。「販売+寄付」に特化した設計なのが特徴です。
シンプルに必要十分な機能を搭載していて、従来のチケットサイトよりも安い販売手数料で、事務作業を自動化しつつ、寄付を効率よく募ることができるという強みがあります。
「カンタンに全ておまかせで販売したい!」という人におすすめです。
「チケット価格」や「支援を募集する出演者名」などを入力するだけで、寄付も募れるチケット販売ページを作成できます。
- 登録なしで予約ページを開設できる
- 「販売+寄付」に最適化された設計
- 事務作業を自動化できる
- チケット販売手数料が無料*
このシステムは若手音楽家のために設計されているので、機能は最小限ですが、わかりやすいシンプル設計で、3,000円以下のチケットは販売手数料0円という大きなメリットがあります(クレジット払いの場合は+3.5%)
また、寄付が可能というだけでなく、行動経済学や心理学に基づいて寄付の発生率・金額を最大化するための改善を日々取り入れているという点で優れています。
まとめ
チケット販売と同時に寄付を募るという方法について理解は深まったでしょうか?
支援金が集まればコンサートの収入が底上げされて、今まで以上に音楽に集中して打ち込むことができるようになります。
多くの若手音楽家がこの方法を知り、音楽的にステップアップしていくきっかけになれば幸いです。
わからないことなどあればTwitterやお問い合わせからなんでもお聞きください!